2013/04/02

読書アプリ

ipod touchを持っている。もう大分古いので電池の持ちが悪くなったり幾分レスポンスが悪くなったりしているのだが、やはり寝る前にベッドに横になりながらネットしたり、コンサートの時に持っていって暇つぶしに使ったりするのにはもってこいだ。

最近「i読書」というアプリを入れた。無料アプリなのだがこのアプリを通して多くの小説をダウンロードしてipod上で読書ができるというわけだ。ダウンロード可能な作品の作者はどれも古いものばかり。どうやら原作者の著作権が既に切れているものということらしい。
早速色々ダウンロードしたのだが、宮澤賢治の作品がダウンロードできるのがとてもありがたい。母が彼の作品を好きで子供の頃から私自身もよく読んだ記憶がある。アニメの銀河鉄道の夜も未だによく覚えている。童話を一通りipodに入れた後、詩集である『春と修羅』をダウンロードした。序が有名な

わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です

で始まる詩集だ。どのページを開いても色彩に溢れた文章がつづられている。

実は手元にちくま文庫の『春と修羅』がある。が恥ずかしいことに一度も読破したことが無い。というのも、どの詩も美しいのだが一篇ずつ噛み締めないと読んだ意味が無いし、かといってそうやっていると読むのに恐ろしく時間が掛かるからだ。そうこうする内に、他の本に浮気をしていつの間にかそっちばかり読むようになってしまう。また読みたくなったときには、本という手にとることのできる情報媒体の特徴なのか、また初めから始めてしまう。

インターネットが無い時代に生まれた世代だからなのか、今となってはすっかりデジタルな世界に埋没するような生活の中にあっても、ipodで読書というのはどことなくイージーな印象を持ってしまう。

ipodでは文庫本特有の紙の香りを吸い込むことはできないけれども、同じ文章を読んで同じだけ感動できるだろうか。珍しく懐古的な気分になった。

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